これは、「水溶性焼入油」「ソリブル」などとも呼ばれています。
ポリアルキレングリコールなどの高分子化合物で作られた焼入れのための冷却剤で、水溶液にして使用します。
焼入れで使われる「焼入れ油」に替えて使われるのですが、高周波焼入れでは、その濃度を変えて冷却能を調整して使用されています。
焼入れ油のように発火性がないという利点があります。
高周波焼入れで用いられる冷却剤は、水冷よりも若干遅く、焼入れ油以上の冷却性(冷却能ともいいます)で冷却になるように調整された液が広く使用されています。
焼入れ油は火災の危険性があるので「危険物」の扱いになるので、一般熱処理業者では焼入れ油に変わるものを求めているのですが、大容量の使用量になると、濃度や冷却性能の管理面などで難点もあって、焼入れ油に変わって使用されている状態には至っていないのが現状です。
可燃物ではないという点は魅力です
焼入れ油は消防法に関係した取り扱いが必要で、大量に取り扱うには注意が必要ですし、いろいろな規制や制限が発生しますが、水溶性のポリマー焼入れ剤は、消防法に該当する危険物ではないために、量的な制限を受けないという特徴があります。
さらに、焼入れ油は、品物や環境の汚染の問題と、それを除去するための後処理の問題があるために、焼入れ油に代わるものが求められているのですが、現時点では、一般熱処理用のポリマー冷却液の濃度変化による品質の安定性の面で不安定さがあって、使い方も限定的です。
私が勤めていたときに、焼入れ槽でも、この水溶性の冷却剤を使ったことがあります。
数年間、比較的大容量の冷却槽に入れて使ったのですが、大きな品物を焼入れすると、槽で発生する「におい」が機になります。
そして、焼入れでの液の変質に対応するように管理するのが難しくて、うまく使いきれなかった … という経緯があります。
結局、普通の焼入れ油に戻ったまま現在に至っていますが、小容量で小さな品物の冷却では問題が起きていないようで、高周波焼入れでは常用されています。
もちろん、さらなる研究や対策も進んでいるでしょうから、危険物の焼入れ油を使わないようにしたいという要望は変わりませんから、動向には着目しています。
