鋼をグラインダーで削った時に出る火花は、鋼に含まれる元素やその量によって、火花の形状が変化するので、それを利用する判別試験です。
これで鋼種や鋼の状態などを推定する試験方法を「火花試験」といい、その方法はJISで規定されています。
【火花の例】(JISハンドブック)

基本的な試験の方法は、既定のグラインダなどの器具を用いて、火花が見やすい環境でグラインダーで鋼をこすって火花を出し、それを、成分が既知の鋼の火花と比較して、鋼種や合金成分の量を判定します。
だから、鋼種の判別程度であれば、だれでも簡単にできます
本格的な鋼種判定は技能と熟練度が要求されますが、火花試験で、異材の判別などは、少し練習するとできるようになるので、正式なやり方がなくてもおおよその鋼種選別ができるので、知っておくと非常に便利な方法です。
ここでは正式ではありませんが、簡単なやり方を紹介します。
火花試験は難しくない!
JISには「火花試験方法」が解説されていますが、それを習熟するのはかなり大変ですが、ここでは、それを説明するのではなく、実用的に「化学成分が既知の鋼と試験する鋼の火花を比較すること」は誰でも簡単にできます。
つまり、2つの鋼種が「同じか違うか?」が判定できるだけでも、非常に利用価値があるので、それを主眼に紹介します。
一般的には、①花の咲き方で炭素量を見る ②花の形状や火花の色で合金元素の種類や量を推定する … ということが火花で判別できます。
そうはいっても、グラインダーの種類や回転数、照度などの部屋の環境、鋼材の熱処理のあるなし … などの、いろいろな要素で火花の状態(火花の出方や色の様子など)が変わります。
しかし、鋼種の違いを見る程度であれば、室内の明るすぎない場所でグラインダを当てるだけでも、鋼種が違えば、火花の違いが見えてきます。
火花試験をするには、平型研削砥石が使える「ストレートグラインダー」がいいのですが、手に入りやすい「ディスクグラインダー」でもいいので、とりあえず、火花の先端が見えるような下のようなものであれば、用意しましょう。
そして、ともかく一度、やってみるといいでしょう。

1鋼種の鋼種の火花を見て、その成分や鋼種を判定するには、かなりの熟練が必要ですが、2つの鋼材の火花を比べることで、「同じ鋼種か違う鋼種かを判断する程度は比較的簡単に行うことができます。
ぜひこのことを覚えておいて数回練習すれば、鋼種の違いが見えてくるでしょう。(こちらに関連記事)
たとえば、数個の鋼材の中に、1つ別の鋼種が混ざり込んだ場合(これを「異材混入」といいます)には、「同じ鋼種か、違う鋼種か」という程度は、少しやってみると、簡単に見分けがつきます。
また、数種の成分のわかった試験片(小さな鋼材)を用意しておくと、少し練習するだけで、異材判別や、それが、どの鋼種に近いか … などはわかるようになります。
山本化学工具研究社さんから、試験片が発売されていて、それらを用いて練習することもいいのですが、違いの有無だけを見るのであれば、あえてそれを購入するほどのことはないでしょう。
火花試験は軽視される傾向ですが…
過去には、熱処理技能士の資格を取るには、その火花の判定能力が必要でした。
しかし近年は、その試験の実技も、写真を見て回答するものに変わってきたこともあり、熱処理技能士であっても、高度の火花判定能力のある人は減ってきているのが実情です。
同じ鋼種であっても、成分が同じかどうかを判定する場合は、熟練者でも火花試験が難しい場合があるので、そのような場合は機器分析をしなければなりません。
このような背景もあって、次第に高度な判定ができる技能者は減ってきているのですが、簡易的な判定は簡便ですので、熱処理関係者以外にも継承させたいものです。
今回ここで説明しようとしているのは、分析ではなくて「比較」ですので、特に、グラインダーや砥石の仕様は考えなくていいですし、少しなれてくれば、JISの火花試験方法を参考にして細かい判定ができるようになると便利ですよ。
ポータブルな蛍光X線分析計による鋼種判定
蛍光X線分析計による方法
ポータブルな分析計を使うと簡単に成分分析ができます。
ただ、この蛍光X線分析は、残念ながら、重要な鉄鋼における「炭素量」が測定できないのが欠点ですが、それについても、その他の合金量などからソフトウエアによって成分の推定をすることができるので、かなり確度の高い鋼種の判別が可能です。

