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ひも付き(ひもつき)という鉄鋼業界用語について

鋼種やその仕様で製造された鋼材が、「メーカー ~ 鋼材問屋 ~ 需要先」と流通していくときに、あらかじめ、業者間で取引方法を定めた流通形態のことを「ひも付き」と慣用的な呼び方(業界用語)をします。

また、そのようなあらかじめ決められた鋼材価格を「ひも付き価格」といいます。

これに対して、鋼材屋さんが通常に販売しているものを(一般的に流通している鋼材)「市中品(市中材)」「店売り」などと呼び、その鋼材価格は「店売り価格」「市中単価」などの言い方をされます。

鋼材の流通は、何百トンという構造用鋼などの汎用材でも、数トン単位で製造される工具鋼鋼材でも、鋼材メーカーが直接需要先と取引することはほとんどはありません。

このような場合では、まず、一次問屋と呼ばれる大手鋼材店や鋼材商社を通じたルートを通ります。

しかし、実業務は、需要家が鋼材の品質仕様や要求がある場合などでは、鋼材メーカーと需要家が直接協議する必要が出てきます。

その場合は、その要求元(鋼材店・需要家・エンドユーザーなど)とメーカー間の取引も「ひも付き」の取引になります。

これに対して、店売りの鋼材を購入する場合は、JISなどに規定されている鋼種の仕様などの、最低限で一般的な取り決めしかしていないので、鋼材の購入者が要求する条件などは限定的になります。

実際に流通・販売されている鉄鋼種のその製造仕様や販売形態は非常に複雑です。

それらのすべてを、問屋や販売店が管理したものを自社倉庫などに保有して、それを一般需要先に市販するのは非効率ですし、保管費用などで単価などに影響するので、このような流通形態は取らずに、少し大口の鳥磁気や購入になれば、自然にメーカーから需要家に至る特定の販売ルートができるのは当然でしょう。

小ロットの工具鋼や特定形状のものなどは、売り先(需要家)がきまっておれば、独自の流通経路になります。

しかしそれでも、一般鋼材や構造用鋼などの汎用鋼でも、鋼種・形状・寸法に応じて取り扱い問屋(鋼材店)やメーカー系列ができていて、そこに需要家が入る形になります。

鋼は、基本的にはこのように特定のルートで取引されるのが通例で、この、メーカーから売り先までが決まっている流通形態が「ひも付き」で、そこで決められる価格が「ひも付き価格」になります。

ある流通の時点で販売店などが在庫を持って一般に販売する場合の「店売り」「市中品」なども業界用語で、これも決まった言い方ではありません。

少し、鋼種名の話を取り上げますが、・・・

例えば、冷間工具鋼のSKD11はプロテリアル(旧:日立金属)さんではSLD、大同特殊鋼さんではDC11という鋼種名で販売されています。

これらは「SKD11」ではなく、「SKD11相当」という言い方をされますが、内容は、基本的にはSKD11です。

つまり、SKD11という名前ではなくて、メーカー独自の鋼種名で流通しています。

このように、SKD11であっても、各社の品質は違うので、鋼材の流通形態は、メーカー各社毎の流通網が自然にできますし、その販売先も固定されるという図式になるのは当然でしょう。

日本製鐵とトヨタ自動車のひも付き鋼材価格交渉がニュースで取り上げられることもあるほど、大手企業の価格動向は経済的影響も大きいのですが、反対に、特に、工具鋼などでは2~20トン程度の、メーカーからすると、比較的小規模のロットの場合でも、鋼材メーカーと需要家の企業が直接取り引きすることも多く、小さなロットでも「ひも付きルート」が多くあるのが実情です。

その場合でも、メーカーは流通の効率化のために、エンドユーザーとは直接取引しないで「問屋」を含めた流通ルートが決まっているのが一般的です。

もちろん、エンドユーザーが製造企業ではなくて鋼材店までが「ひも付き」で、その販売店が広く「店売り」する場合もあります。