金属用語でいう「超合金」とは、合金量の多い金属という意味合いで、英語ではスーパーアロイといいます。むしろ、超合金とは呼びません。
スーパーアロイは、成分的には「鉄鋼」の範疇にはないものがほとんどです。
子供用のおもちゃで「超合金」というシリーズのおもちゃがあります。 これは亜鉛合金のダイキャストで作られたもので、「超合金」というと、非常に「強い」金属というイメージが強い感じですが、スーパーアロイとは全く違うものです。
金属でいう「超合金」は「スーパーアロイ」の日本語訳ですが、逆に、普通は「超合金」とは言いません。 例えば、プロテリアル(日立金属)さんの資料では、「超耐熱合金」とあります。
このほとんどが、高い硬さ、耐熱性、耐酸化性などに優れる金属 … という特徴ある内容を持っていて、高い硬さのものは「超硬合金」、耐熱性耐酸化性のものは「超耐熱合金」と呼ばれます。
超耐熱合金
耐熱要素の強いものでは、鉄鋼の分野では耐熱鋼(JIS記号はSUH***など)やオーステナイト系ステンレス(JIS記号はSUS*** ) があります。
それらよりも耐熱性の高いものが「スーパーアロイ」の分野になります。
超耐熱合金の主な用途は ジェットエンジンやガスタービン部品、燃焼室用などで、溶接棒などに加工されなどで、さまざまな用途に使われています。
これらも普通は「超合金」とは言わずに 超耐熱合金 と呼んでいます。
3種の合金系
超耐熱合金には、大きく分けて、①鉄基合金系 ②コバルト基合金系 ③ニッケル基合金系 があります。
そして、多くの製品名があるのですが、ほとんど「固有の商品名」で呼ばれています。
鉄基合金系では「インコロイ***」、コバルト基系では「ステライト**」、ニッケル基系では「インコネル***」「ハステロイ***」などの名前で多く流通していますので、これらの名前を聞いたことがある方もおられるでしょう。
鉄基合金 の耐熱合金のうち、概ね、鉄の含有量が50%以下の合金量のものが 超耐熱合金 に分類されます。
ちなみに、鉄鋼製品で合金割合が最も高い粉末ハイスなどには、Fe以外の合金量が40%に達するものがあります。
ハイスと耐熱合金との違いは 炭素量で、耐熱合金では低熱度を低下させる炭素量(カーボン量)が低いことが特徴です。
粉末ハイスには、非常に耐摩耗性が高い鋼種もあり、なかには、硬い炭化物を作るために2%を超える炭素量の鋼種があります。
炭素は耐熱性を低下させるので、高合金ハイスと高合金で低炭素の耐熱合金とは全く異なります。
耐熱鋼や耐熱合金の成分例
下の表は、耐熱鋼と耐熱合金の例と、およその成分値をピックアップしたものです。
ここでは、スーパーアロイが鉄鋼の耐熱鋼とはかなり違う成分であるところだけをみておいてください。

耐熱性とは、高温の耐食性、耐酸化性、高温強度などに優れていることですが、これに伴って、耐薬品性なども高いものが多いです。
高温での変形に対する強度がある事を言いますが、これらは鍛造などの成形加工ができないので、鋳造や溶接した後にグラインダなどで整形するのが通常の加工法になります。
高温強度を保つ方法で、「マトリックス強化型」と呼ばれるものと、析出硬化を利用する「析出硬化型」があります。
これらの中では、鋼種ごとに決められた熱処理が規定されるものもあります。
この熱処理は、鉄鋼と同じように、マトリックス強化型では、1000℃以上の高温状態から急冷する「固溶化処理(溶体化処理)」が、析出硬化型では、固溶化処理と700℃程度までの時効処理が行われます。
非常に硬い合金 : 超硬合金
「硬い」超合金では、切削工具などに用いられる、超硬合金 がよく知られています。
この基本のタイプは、硬質のWC(タングステンカーバイド)をコバルトやニッケルを結合剤にして、焼結して作られています。
近年は、タングステン炭化物以外の Ti・Ta などの硬い炭化物粉末を混合するものや、さらに、工具の刃先につけた超硬合金に表面処理によるコーティングをして長寿命化された超硬工具製品もたくさん作られています。
超硬合金は炭化物粉末の塊
一般的には、超硬合金の Co の量は3~25%で、それ以外は硬い炭化物の粉末で、Co が多いほど耐衝撃性は優れます。
しかしCoが高いと、逆に、耐摩耗性は落ちます。
例えば、鋼での耐摩耗性が最も高い粉末ハイスと超硬合金を比較すると、(イメージ的な数字ですが)、超硬合金はマイクロビッカース硬さで1.5倍、吸収エネルギー(じん性)は1/2という感じになっています。
超硬合金と鉄鋼種では、工具の使用法が全く違います。
そして、これらの特殊な合金は、かなり鉄鋼からはかけ離れたものだといえます。

