PR

セメンタイト|鋼中の非常に硬い炭化物 

Fe3Cであらわされる鉄の炭化物をセメンタイトといいます。

セメンタイトは非常に硬くて脆いもので、その硬さは1300HV程度です。

亜共析鋼の例

これは亜共析鋼の焼なまし状態の顕微鏡写真の例です。

黒っぽく見える部分は共析のパーライトで、大きい白い部分はやわらかい「フェライト」の単相です。

その部分を拡大していくと、下の写真のように、セメンタイト(硬い炭化物)とやわらかいフェライト(α鉄:100HV程度)が層状になっています。

この組織は、亜共析鋼(この写真は約0.4%C鋼)を焼なまし温度から徐冷したもので、まず、オーステナイトの状態から、共析のパーライト(黒い部分)が析出して、残りが炭素Cが非常に少ない「フェライト(白い部分)」が析出して変態が完了している状態の組織です。

これが共析鋼(約0.85%C)になると、完全焼なましの状態では、フェライト部分がない、組織全体がパーライトの組織になります。

(参考)パーライトの電子顕微鏡写真
パーライト組織の電子顕微鏡写真例

上の亜共析鋼の写真で、白い部分がフェライトで、黒く見える部分がパーライト組織になっています。

この電子顕微鏡写真は、説明用のために、パーライトの電子顕微鏡写真をさらにデジタル拡大したものです。

パーライトは、炭化物Fe3C と フェライト(α鉄)が層状に析出した共析組織になっています。

この共析組織のものを球状化焼なましすると、長い層状の炭化物が切れて、丸い炭化物に変化していき、それにともなって硬さも、完全焼なましをした場合よりも、若干柔らかくなります。

また、過共析鋼(例えば1%C)になると、鋼中に炭素が共析の量を超えるので、溶け込ませることができないために、粒状の炭化物のセメンタイトが結晶粒界に析出する組織になります。

さらに炭素量が増えると、粒状の炭化物が結晶粒を取り囲む形になり、それを網状の炭化物または、網状セメンタイトと呼ばれます。

網状のセメンタイト