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ジョミニー試験|一端焼入性試験

ジュミニー試験とは、「ジョミニ1端焼入れ性試験」のことで、慣用的にこのように呼ばれることが多いようです。

これは、焼入れ温度に加熱した25mm径の棒の端面を水冷して、その外周面の硬さ推移で焼入れ性を評価する試験法です。

水冷による試験なので、焼入れ性の高い鋼種などを評価するには不向きですが、構造用鋼は多くのデータがあって、同一条件で焼入れ性の比較ができる便利な試験です。

ジョミニー試験の原理  ジョミニ試験の例

この試験では、焼入れ性の良否を、端部表面の最高硬さ値や焼入れ端(実際の品物では、表面)からの胴部の硬さで「硬化深さ」を評価します。

硬化深さ(硬化深度ともいう)が深いということは、焼入れ性をよくする合金成分(Mn、Cr、Niなど)を多く含む鋼です。

つまり、上図のように、焼き入れ端の硬さが高く、端部から離れる場合の硬さの低下が少ない鋼が「焼入れ性がいい」と評価されます。

逆に、焼入れ性の劣る鋼は、試験片端部の硬さが低いうえに、端部から離れると、硬さ低下が大きい鋼だということです。

だだし、試験片形状がφ25ですから、SNCM439のように焼入れ性の良い鋼種では、水冷端以外の胴の部分も、空冷されているだけで硬化します(焼が入ります)。

また、このような、すこし焼入れ性の良い鋼種は、水冷で焼き入れすると変形が多くなるなどで、普通は「油冷が標準」になっています。

しかし通常の熱処理では、この試験のように、水冷することはほとんどないので、実用性のないデータのように思えますが、同一条件での試験なので、これはこれで、鋼種間の焼入れ性の比較ができるという良さもあります。

この試験では、構造用鋼であっても、水冷による方法なので、それぞれの鋼種の適正焼入れ条件に沿う焼入れ性を評価できないのですが、焼入れ性を簡便に試験できるために、この試験法は古くから行われています。

焼入れ性を保証する鋼種

同一鋼種でも製造履歴によって、硬さ範囲などに差が生じる可能性があります。

そこで、焼入性試験をして、その上下限を定めた「Hバンド」を示したのが「焼入れ性を保証する鋼種」です。(→こちら

これは例えば、普通のSNCM439に対し、SNCM439Hと、後ろに「H」が付加されています。

これらの鋼を「H鋼(エイチこうまたはエッチこう)」といいます。

注意する点ですが、よく似た用語で、「H型鋼(H型をした型鋼)」や、調質済みの鋼をマルエッチというような、従来からの業界用語(例えば S45CⒽ のように鋼種のあとに「マルが込みのH」を書く習慣)があるので気をつけましょう。

だから、『Hバンド鋼(焼入れ性を保証した鋼種)』かそれ以外のものを言っているのかを常に意識しておくのが良いでしょう。

近年の構造用鋼材は、製鋼技術が向上して、非常に均質で品位が高い鋼が製造されていることから、あえて「H鋼」を要求する必要もないほど、通常鋼種でも高品質になっています。