熱処理で加熱した品物を冷却して「焼入れ」するときに、水などを冷却液を強烈に噴霧すると、高い冷却速度がえられます。それを「噴霧焼入れ」といいます。
高周波加熱(高周波焼入れ)で通常、よく行われている冷却方法です。
噴射冷却も同じ意味合いです。
この方法は、水中に品物を浸漬して冷却するよりも、遥かに速い冷却速度が得られます。
水以外の冷却剤を噴射して焼入れする場合も同様で、これらも噴射焼入れです。
機械構造用炭素鋼(S~C材)などの、焼入れ性の低い鋼種(焼きが入りにくい鋼種)で高い焼入れ硬さをえるには、焼入れ温度に加熱した品物を、水を用いて冷却する方法が「水焼入れ(水冷)」です。
この場合でも、品物を静止するよりも、水と品物を撹拌すると、冷却速度が上がります。
これは、焼入れ温度から品物を水中に入れると、品物と水が接触する部分で水蒸気の膜ができて、この水蒸気に品物が包まれるために、冷却速度が低下するので、この膜を除去するために撹拌するとですが、この時に、冷却液を強烈に噴射することでも、この蒸気膜を破壊して除去できるので、熱が滞留しないで、奪い去られることで、急速な冷却ができます。
そのために、噴霧(噴射)冷却を行うと、通常の水焼入れや撹拌した水焼入れよりも、冷却が早くなって、焼入れしたときの硬さが、より出やすくなります。
焼入れした硬さが高くなることを、「よく焼きが入る」というような表現をします。この噴霧焼入れをすることで、よく焼きが入ります。
下が噴射焼入れをしている高周波熱処理の作業の例です。

大洋金属工業様のHPより引用
高周波熱処理では、表面が硬く、内部が軟らかい状態にする品物が多いので、逆に、焼入れ性の高い鋼種は不向きで、安価な材料を用いて、表面の耐摩耗性を高めるために、加熱した品物の周囲から水を噴射し、品物又は冷却部分を移動しながら冷却する方法が取られます。
これが「移動焼入れ」という方法です。
この場合は、水だけを用いた冷却の他に、冷却速度を穏やかにするため、水溶性の高分子ポリマー焼入れ剤を加えた焼入れ液を使用して、加熱直後の部分に噴射して焼入れするのが一般的です。

