熱処理においては、測定荷重が200g程度以下で測定される硬さを「微小硬さ」といいます。
よく使われる試験機は、ヌープ試験機、マイクロビッカース試験機で、通常の熱処理では、マイクロビッカース微小硬さ試験機を使って測定するものを指します。
マイクロビッカース硬さ試験は、ビッカース硬さ試験を低荷重で行なえるようにした試験機です。
通常は、鏡面仕上げをした測定面に四角錐のダイヤモンド圧子を押し込んで圧痕を顕微鏡で拡大して対角の平均寸法を測定して、その大きさから硬さを算出します。
品物を直接に測定することはまれで、例えば、品物の先端部の硬さを測定するなどの場合は、樹脂などに埋め込んだ刃先断面を測定します。
近年の試験機では、硬さ値が自動的に表示される試験機も多くなっています。
下図のように、顕微鏡を使って計測した「くぼみの数値」からJISに基づく算出法によって硬さ値にするのですが、読み取ったすくぼみの寸法で、換算表を使って硬さ値がわかるようになっています。

この図は、試験機メーカーの(株)マツザワ様のHPにある図を利用させていただきました。
この試験機は、焼入れ品の表面からの硬さ推移などの微小部分の硬さ測定などに用いられます。
10グラム以下などと非常に軽荷重で測定する場合もありますが、硬さが高いと圧痕が小さくなって測定誤差も大きくなるので、焼入れした鋼の場合では、100-300g程度の荷重で測定することが多いです。
そして、測定物は小さく切断して、25mm径程度の樹脂などに埋め込み、鏡面研磨をした表面を測定します。
被測定物の硬さが高い場合は圧痕の大きさが小さくなるので、荷重を変えたり測定位置をずらすなどの工夫をして、表面からの硬さ推移(硬さ変化)を測定します。

表面処理した表面部分の断面の硬さ例(協力:第一鋼業)
この図は、各種の表面処理をした場合の表面からの硬さ変化を見たものですが、微小硬さを測定すると、このような表面硬さの推移やその変化の深さを知ることができます。
マイクロビッカース硬さの測定は、品物の断面を切断して、さらに、その表面を鏡面に仕上げる必要がある特殊な作業になるので、通常の熱処理検査で常時に行うことはほとんどありません。
近年は一連の測定作業が自動化されている機器もあります。
特に、圧痕径を目視で読み取るには熟練が必要であるので、それらを自動化(画像化)することで、硬さの精度向上が図られてきています。
