熱処理で用いる硬さ計の測定原理を言う言い方で、「硬い品物は反発力が強い」ということを指標にした「硬さ」をいいます。
通常は鉄鋼関係のJISに規定される「ショアー硬さ試験機」が対象になります。
もう一方にはロックウェル硬さ試験機やブリネル硬さ試験機のような「押し込み硬さ」があります。
ここでは、鉄鋼などの硬さ測定用の「ショアー硬さ試験機」が対象ですが、同じような仕組みで、鉄鋼用以外のゴム・プラスチック系の材料の硬さを測定する場合に用いるショアー試験機もあるので、それらとは区別しておく必要があります。
ショアー硬さ試験機は、圧子を試験をする品物上に落としたときの反発して跳ね返った高さで硬さを決めています。
これとは別の方法で、反発するときの速度などを測ることなどで硬さを評価する試験機【商品名:エコーチップなど】も製造されています。
これは、全方向で硬さが測定できるなどの便利さがありますし、いろいろな硬さに換算できる便利さがありますが、ASTM規格に準拠していますが、JISに規定されるものではありません。
【参考】JISに規定されている反発硬さを測るショアー硬さ試験機以外の硬さ計では、ロックウェル硬さ試験機、ビッカース硬さ試験気、ブリネル硬さ試験機などがあり、これらは、「押し込み硬さ」という分類で、硬い圧子を品物に押し込んだときの抵抗の大小(押し込まれにくさ)を測る試験機です。JISにはこれら4種(ブリネル、ビッカース、ロックウェル、ショアー)とその硬さ基準片について規定しており、トレーサビリティー(国家標準の「硬さ」まで遡って管理される状態になっていること)が確立しています。

この写真は、硬さ値が直読できるショアー(D型)硬さ試験機を使って硬さを測定しているところです。
円筒の中に、先端にダイヤモンドをつけたハンマーがあり、それを品物上に落としてその跳ね返った高さで硬さ値を決めるもので、これは「硬いものはよく弾む」という考え方を基にして硬さを表示しています。
鋼の最高硬さは100HS … ?
鋼の最高硬さのものを測った時にそれを100HSにして目盛をつけた … という話を聞いたことがあります。
SAEの硬さ換算表の最高値をみると 68HRC=97HS となっており、私の経験するロックウェル硬さで最も高い硬さでは、粉末ハイスで 70HRC という硬さが出る鋼種があったので、これを換算表の値の線を外挿すると 100HSぐらいになるので、「鋼の最高硬さは100HS」というのはもっともらしい話のようです。

ちなみに、その70HRCの品物をショアー硬さ試験機で測ったところが、97HS程度の値で、硬さ換算表の値とはかけ離れていたのですが、このような特殊な材料の硬さは、硬さの換算をすること自体が無理なのでしょう。
余談ですが、このように、換算表が使えない場合も多いことも知っておかないといけません。
この場合は、炭化物の多い粉末ハイスの特殊性と、ショアー硬さ計の管理範囲外の硬さなので、換算は無理ということのようですね。
現在は、ショアー硬さは信頼できる
現在はJISにある「硬さ」のトレーサビリティー(国家標準につながる硬さに管理がされている状態)が保たれるように管理されており、また、その他の硬さ計との硬さ関係がわかりやすいように、硬さ換算表が整備されています。(換算表はASTMなどアメリカ規格のものがJISハンドブックなどに掲載されていますが、JISでは規定されていません)
過去には、ショアー硬さ計の精度を問題にする人も多かったのですが、現在では、トレーサビリティーとともに、検査員の訓練などの充実もあって、非常に高い精度で硬さの測定ができるようになっています。
実用的な硬さ範囲 30~85HS程度が常用の硬さ範囲です。
ショアー硬さ計は、上の写真(これは「D型」タイプ)のように比較的軽量で、持ち運ぶことができますし、測定筒を取り外して大きな品物の硬さを測ることができるので非常に便利です。
ショアー硬さ計の外観や構造は、私が知る限りでも、3/4世紀以上の間では、ほとんど変わっていません。
それほど、頑なに、関係者さんの努力で、ショアーの精度が守られてきていることにも驚いています。

