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熱処理の腐食液で王水(おうすい)も使います

王水は、硝酸と塩酸を混合した腐食液です。

一般に、「金(Gold)」を溶かすことができる液体」として知られています。

このように強い腐食作用があるために、熱処理では、オーステナイトステンレス鋼などの腐食しにくい鋼の顕微鏡組織観察の際に用います

酸化力が非常に強いために、熱処理関係では、ステンレス鋼などの耐食性の高い鋼材や腐食しにくい焼入れ組織溶の腐食液として金属顕微鏡組織検査などに用いられることが多いのですが、もちろん、人体には有害なので、取扱には十分注意しなくてはなりません。

また、廃液は中和して、酸による環境への問題が起きないように処理する必要があります。

通常の王水の調製は、濃塩酸と濃硝酸を3:1(または3:2など)の割合に混合して王水を作ります。

鋼の組織を観察する場合には、王水の腐食速度が早すぎるために、焼入状態やオーステナイト系ステンレスの組織を見るなど以外は、それをそのまま使用せずに、しばしば、腐食速度を下げるためにグリセリンを混ぜて、希釈して使用しています。

ただ、一般的に言えることですが、顕微鏡組織観察の一連の作業は、経験と熟練が必要です。

腐食液や腐食の方法が異なると、全く違った組織に見えてしまうことがあります。

そのために、いろいろな腐食液を使うのではなく、基本は「ナイタール」を用いるようにしています。

腐食液を決めて観察するようにすると、熱処理状態を判定しやすいでしょう。

ナイタールは濃硝酸を3%から5%になるようにアルコールで希釈したもので、濃度は一定にするのも大切です。

ナイタールでうまく観察できないようなら、王水などのその他の腐食方法を試みるのですが、その場合は、ナイタールやそれぞれの腐食方法をとったものは、全く違う組織として観察されることに注意しなければなりません。