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マルテンパー|恒温熱処理のひとつ

焼入れ冷却時に、マルテンサイト化する温度にした塩浴(ソルトバス)などに焼き入れして、等温になるまで保持した後に空冷する方法です。

歪みの軽減、焼割れ防止などを目的に行われる「恒温熱処理法」の一つです。

これとよく似た処理で「マルクエンチ」(→こちら)があります。

このマルクエンチは、Ms点直上の温度で品物がその温度になるように保持してから空冷する方法です。

マルテンパーとマルクエンチは区別しないことが多い

近年では、マルテンパーとマルクエンチうを区別せずに、MS点付近の温度で保持して空冷する … という意味で用いられることが多いようです。

マルテンパーは英語表記では「martemper」です。そして、熱処理操作になると「martempering」となります。

日本語表記では「マルテンパ」と書かれている場合があります。

martemperを英語サイトのWikitionaryで調べると、

To subject (steel) to a heat treatment involving austenitization followed by step quenching (at a rate fast enough to avoid the formation of ferrite, pearlite or bainite), used to produce martensite under relatively low stress.

と書いています。これは、「低いストレスの状態で、フェライトやパーライト、ベイナイトを出さないように段階冷却する」とあります。

国内の文献では、マルテンサイト変態をする直上の温度(Ms点直上)で温度を保ってから空冷するのがマルクエンチで、Ms点以下で一定温度に保ってから空冷するのがマルテンパーと説明されています。
(ソルトバスの恒温処理全般については→こちらで

マルテンパーかマルクエンチのどちらを選ぶのがいいのかについては、特に基本の考え方はありませんが、焼入れ性の低い鋼では、保持温度が低いほうが硬さが高くなっていますし、変形の程度も(一定ではありませんが)変わります。

そのために、焼入れ性の良い鋼種は割れや変形を抑えるために、Ms点直上の温度のマルクエンチを、そして、焼入れ性のあまりよくない鋼種は、Ms点より低い温度で保持することで、焼入れ硬さが出やすいマルテンパーがおすすめですが、通常は、鋼種に合わせて、度々にソルトバスの温度を変えることはしません。

ソルト冷却では油冷より冷却速度が遅く、また、過冷されることもあって、低めの温度で保持したほうが硬さが確保されやすいので、これと鋼種のMs点の温度を考えて扱うのがいいでしょう。

・・・と言っても、私の勤務した第一鋼業(株)では、通常、150~160℃の温度ですべての鋼種を焼入れしているのが実情で、やはり、両者を区別して考えていないようです。