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熱処理で生じる不具合|件数のトップは「異材混入」

熱処理における「不具合」や「不具合品」とは、熱処理工程で生じた「不良」や「不良品」のことです。

また、熱処理完了後の不良は、クレーム(苦情)として扱うので、不具合は、熱処理工程で見つかった不良です。

不具合を平たく言えば、焼入焼戻しをしたが、目標の硬さがでない、変形や割れが生じて、製品にできない … などが不具合で、その対象になる品物が「不具合品」です。

熱処理を、自社あるいは、個人が熱処理した場合は、当事者内で処置ができますが、熱処理加工をする会社に委託して熱処理を行った場合は、委託した側と受託した側で、金額の問題が生じますから、その扱いや処理は簡単ではありません。

不具合については、書籍などで紹介されることは少なく、ほとんどは、個々に当事者間で営業的に金額的な折り合いをつけることになるのですが、熱処理業者の原因の割れや変形、作業上の不良は非常に少なく、一番多い不具合は、何らかの理由で、他の材料が紛れ込む「異材」の問題 … ということを紹介します。

熱処理して、要求どおりの結果にならないのが不具合

不具合とは、熱処理をした結果、目的の状態にならなかった品物を「不具合品(異状品)」といい、それに対して、品物の状態は別にして、工程手順や工程の内容が異状な場合を「工程の不具合」として区別している場合が多いようです。

不具合と不具合品と工程の不具合

例えば、ISO(JISQ9001の品質マネジメントシステム)は、不具合と不具合品並びにクレーム品に対する対応を、社内規格などで定めることを求めています。

また、工程中の異常もすべて「不具合」です。

例えば、熱電対の異常で、加熱温度が許容値をこえた場合などで、これは、硬さ検査などに表れないものも不具合として対応しなければならないことになっています。

つまり、熱処理工程で、計画したものと違う工程を行ったり、その結果が標準と異なる品質になるものについても、すべて、「不具合」として扱われます。

熱処理をして、後日に不具合が露見する場合もあり、ISO(JISQ9001)の認証工場などでは、定めのない熱処理文書類の保管期限は3年など … としており、その期間内であれば何らかの対応が取れる仕組みになっています。

不具合件数では、異材混入が最多

年間の不具合で、最も件数が多く、損失の大きいものは「異材混入」です。(私の知る限りでは、毎年の熱処理の不具合件数の8割以上が異材混入による不具合です)

異材とは、実際の品物の材質と違う材質のことで、それが混ざり込むことを「異材混入」といいます。

例えば、「工具鋼のSKD11で、60~61HRCに焼入焼戻ししてください」と持ち込まれた3つの品物を、1030℃で焼入れして200℃で焼戻しした所が、そのうちの1つが、15HRCの硬さしかないために、その材質を調べると、機械構造用鋼のS45Cだった … というようなケースです。

これは、熱処理する前までの材料調達から機械加工工程で材料を間違えているのですが、全数が入れ替わっているのではないというケースが非常に多いのです。

この原因は、熱処理するまでに、お客さんが間違えた鋼種を、気づかないまま熱処理するために持ち込まれるものですが、材料の取り違えは、誰もが「起こることはない」と思っていても、実際には多発しています。

この「異材混入問題」の対策は簡単なものではないのですが、こちらのページの火花試験で簡単に見分ける方法もあるので、常に頭に入れて警戒しておくことで防ぐことができるものです。

焼き割れしたり、大きな熱処理での変形などの不具合は、ある程度は『予想されるもの』ですが、異材の混入は予想できないので、熱処理前に異材が見つかる場合はそんなにありません。

ほとんどは、熱処理完了後の表面の色の違いや硬さ異常として発覚します。

この場合は、ほとんどが再熱処理ができないことも多く、材料+加工+熱処理費用が、依頼者側の損失になりますので、異材混入には、充分に注意ておかないといけないことを覚えておいてください。