焼入れ性とは、表面硬さの入りやすさや硬化深さを言う言葉ですが、概念的な言い方で、「焼入れ性」自体が数値化されたものではありません。
それを数値化する試験方法の一つに、ジョミニー一端焼入れ試験方法があります。
これは、焼入れ性の低い(つまり、急速な冷却が必要な)鋼種に適用できるものですが、試験片の端面を水冷して焼入れて、端面からの硬さ推移(硬さの低下度合い)から焼入れ性が示されます。
得られた結果を示した図を「ジョミニー曲線」といい、これによって、焼入れ性の良し悪しがわかるようになっています。
ここでいう「焼入れ性」は、①焼入れ端の硬さ ②その硬さの低下度合い で判断します。

ジョミニー焼入れ性試験はφ25の丸棒端面を水冷して焼き入れる方法です。
丸棒外周は空冷される状態なので、焼入れによる硬化程度や空冷による硬さなどを知ることができます。
上図に「焼入れ性の良い鋼」とありますが、空冷でも焼が入る鋼は、端面からの硬さが変わらない直線になります。 このため、非常に焼入れ性の良い鋼はこの試験は向いていません。
また、焼入れ性の良い鋼種の多くは、焼入れは水冷ではなく、油冷をする鋼種も多々あります。
この試験では油冷をすることはありませんので、焼入れ性が高くて、本来は油冷する鋼種も水冷によって試験されます。
実際の推奨される冷却方法と異なる試験方法なので、焼入れ性の高い鋼種では使いにくいデータのようですが、試験データのある鋼は構造用鋼が多いので、同条件で数値を比較できる便利さもあります。
この試験で、一定の焼入れ性を持った鋼種を「H鋼(えっちこう・えいちこう)」といい、例えば、通常の鋼種はS45C SCM435などに対して、S45C-H(またはS45CH) SCM435-H(SCM435H)のように、JIS規格では「焼入れ性が保証された鋼」として独立して規定されています。
ただ個人的な見方ですが、この焼入れ性に関する規格などが検討されたのは1970年代以前で、当時と比べて鋼材の製鋼技術も品質も非常に向上しているにも関わらず、この規格の本質は変わっていないので、特別な理由がない限りはあえて「H鋼」を使用することもないように思います。

