一般に「ステンレス」というと、ステンレス鋼(ステンレススチール)のことをいいます。
古くは、不銹鋼(ふしゅうこう=錆びない鋼)と呼ばれていました。
英語では STAINLESS STEEL です。
錆びない鋼ではなく、さびにくい鋼
ステンレス鋼はCrやNiなどの耐食性の高い合金元素をたくさん含んでいるうえに、鋼の表面に薄い不働態(不動態)が生じることで、内部へのサビの進行が少ないために、「さびにくい」状態が長く続く … という特性があります。
つまり、錆びないということではなく、通常の軟鋼のように、戸外で放置すると赤錆が出やすい普通の鋼と比べると、ステンレス鋼は金属光沢が長く保たれる「錆びにくい鋼」です。
「サス」と呼ばれ、色々な種類があるステンレス鋼
耐熱、耐酸化性、耐薬品性などの特徴あり、現在は、フェライト系、オーステナイト系、マルテンサイト系、析出硬化型、2相系などと呼ばれるものがあります。
JISの鋼種記号は SUS*** と表されていますので、たとえば、SUS304は「サス サンマルヨン」と呼称されることも多いようです。
この「さびにくさ」とは、耐食性、耐酸化性、耐熱性、耐化学薬品性などについて減量などの数値で評価されています。
わかりにくいし覚えにくいステンレス鋼種の名前
ステンレス鋼の種類(鋼種)や用途は多岐にわたっています。
JISの鋼種名は主にアメリカの規格の鋼種名(鋼種番号)をそのまま転用していることもあって、鋼種名の番号の統一性もないのでわかりにくいくなっているといえます。
よく使われてはいるのですが、記号のような名前は覚えにくいので、ここではまず、大まかな特徴を知っておいて、鋼種名が必要になったときに一つずつ覚えていくといいでしょう。
大きくは3種類に、さらには、5種類に分類
よく使われる鋼種としては、(1)SUS430 に代表される、安価で台所の流し台のシンクに使われるCrによる耐食性を生かした「フェライト系ステンレス」 (2)SUS304 に代表される、CrやNiなどの合金量の多い、常磁性で耐食性に優れる「オーステナイト系ステンレス」 (3)SUS440C に代表される、Cの含有量が高くて焼入れして硬化する「マルテンサイト系ステンレス」などがあります。
このSUS304は「18-8ステンレス」と呼ばれるように、18%Cr、8%Niを含むポピュラーな常磁性で、これは、磁石につかないステンレス鋼です。
上にあげた他に「2相系ステンレス」や「析出硬化系ステンレス」と呼ばれるものもあり、前の3種に加えて、5系統に分類される場合もあります。
ここでは、上の、フェライト系、オーステナイト系、マルテンサイト系 という言葉を覚えておけば、随所に出てくるので、役に立ちます。

この表のように、ステンレス鋼の鋼種番号と「~系」はまとまって統一されていないうえに鋼種も多いので、非常にわかりにくくなっています。
しかし、今さら、どうすることもできないようです。
ステンレス鋼は、普通鋼よりも高価
ステンレスは合金元素の量が多いこともあって、価格も高価な物も多いです。
耐食性の高いオーステナイト系ステンレスの合金量が高いものは、特に高価です。
過去には、ステンレスの種類を区別するのに「磁石に引っ付くか引っ付かないか」で判断されていたこともあります。
このオーステナイト系のステンレス鋼は「常磁性」で、その他の多くは強磁性が多いので、磁石に引き付けられます。 【参考】非磁性ではないことに注意しましょう。
この選別は、流し台などに使われる比較的安価なフェライト系(強磁性:磁石につきます)ステンレス鋼と、CrやNiなどの合金成分が多いオーステナイト系(常磁性)ステンレス鋼を見分けることに利用されていました。
しかし現在では、商品に使われているステンレス鋼の種類も増えて、磁石で鋼種を見分けることも難しくなりました。(スクラップの売買取引では、蛍光X線分析計で判別するようになってきています)
ステンレス鋼の熱処理
ステンレス鋼の熱処理では、オーステナイト系では、溶体化処理(固溶化処理)が行われ、マルテンサイト系は焼入れ・焼戻しが、析出硬化系は溶体化+時効処理など、それぞれ特徴のある熱処理が行われます。
→ステンレス鋼について、こちらの記事などで、少し詳しく紹介しています。

