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再結晶|塑性変形後に加熱すると加工前の結晶に戻る現象

冷間加工などで塑性歪みを受けた結晶が、適当な温度に加熱することによって、核の成長や新たな結晶の生成がおこなわれて、加工前の結晶のようになっていく現象を再結晶といいます。

下図がその模式図ですが、Recristallization と書かれているのが、温度に伴う再結晶化の過程です。

結晶粒の回復の模式図 WEBの図を編集

上図のように、焼なまし状態の鋼を冷間加工すると、その組織は細く伸展していますが、200℃程度までの昇温によって上記の転位による回復(Recovery)があります。

この過程では、結晶の内部の応力の開放や平均化が進んでいるのですが、それ以上の温度になると再結晶(Recrystallozation) する様子が示されています。

それ以上に温度を上げていくと結晶粒が成長(Grain growth)していきます。

そしてここでは示されていませんが、鋼は変態して結晶構造自体が変化します。

この図示温度範囲では、鋼の硬さは高温になるほど低下し、元の焼なまし状態に近づいていきますが、加工硬化によって上昇している硬さも温度ととともに低下します。

再結晶は、結晶粒内にある亜結晶粒界(疑似的な結晶粒界)から新たな結晶が生成することによって進行するとされていますが、再結晶によって、あたかも、結晶粒が小さくなったような状態になります。

(参考)鋼の変態時の結晶の挙動

余談ですが、この図で、さらに温度を上げると、鋼は730℃前後で変態して、結晶構造が面心立方のオーステナイトに変化します。

そして、この変態時には結晶粒の見かけの大きさは小さくなります。

さらに、それ以上の温度に温度を上げると、オーステナイト結晶粒がさらに成長して大きくなっていきます。

このとき、常温での加工硬化した状態にあった、例えば体心立方構造の結晶は変態して、体心立方晶になるので、もとの結晶状態は完全に変化して消失します。

この、オーステナイト状態で温度を上げて大きくなってしまった結晶粒は、鍛造などの熱間加工をしない限り、現実的には、温度を下げても小さくなりません。

これを小さくするには、変態温度付近で結晶粒を調整するための「焼なまし」をする方法もあるのですが、基本的には、大きくなった結晶すべてを小さくするのはできすに、これも、亜結晶粒界に生じた小さな結晶と大きくなってしまった結晶が混粒となって残ってしまいます。