第一鋼業~熱処理はどのようにすればいいですか?

編者のあとがき

新刊書籍が少ないのが困りますね

書店に並んでいる熱処理関係の書棚を眺めてみますと、このHPで対象としている「一般熱処理」の分野の書籍の数は非常に少なくなっています。

平成年代に入って以降はさらにそれが加速されているようですし、関連の新刊が発刊されても、その内容は、実用書に近いものが多いようですので、 熱処理について知りたい、熱処理を学びたい・・・と考える人に薦めたい書籍はどれだろう?と考えると、非常に難しいなぁ・・・と、悩んでしまいます。

以下に参考にしたり引用した書籍等を紹介していますが、昭和年代の書籍も多いですので、今では入手できるかわかりませんし、さらに、1冊だけを独学しても、ある程度を理解するのはむずかしい感じがします。

ここではまず、お勧めしたいのが、(株)不二越さんの「新・知りたい熱処理」です。WEBにある「知りたい材料・熱処理講座」シリーズもおすすめで、熱処理に関する項目やその内容がわかりやすく書かれています。

WEB上でも7つほどのPDF版が公開されていますので、これをご覧いただき、それらを一読されてから知りたい内容の書籍を探してみてください。

今後は、若い方に期待

このHPは、ぜひ、若い熱処理従事者の方に読んでいただきたいと考えています。当社の従業員の方で熱処理技能士の資格を取得している方も多いのですが、昔から先輩がやっていた現場の熱処理のことはほとんど知らないでしょう。

さらに、書籍などの内容と実際の熱処理の乖離を感じていると思います。

熱処理は「技能・技術」ですので、伝承されてきたものも多いのですが、会社を作ってきた多くの『匠』が退社してしまった今では、これからの伝承が非常に難しくなっています。

そのために、比較的『昔』を知っている世代の人が、これからの、実際の作業の足しになる項目を残したい・・・という思いから、この記事を書いていますし、これからは、若い方が中心となって今の「生きた熱処理」を伝承してほしいものです。


転用しないでください

当社の実験資料もありますが、ほとんどのデータは引用したものです

そのこともあって、引用している図表などはコピーのため鮮明でありませんし、出所も明確でないものも多いため、転用しないようにお願いします。

特に、日立金属さんの技術資料を多く引用させていただいています。

他のメーカーさんとの付き合いも多かったのですが、とくに、弊社と日立金属安来工場の冶金研究所や技術部門の技術者さんとのおつきあいが多かったので、熱処理や材料についてもいろいろと教授頂き、たくさんの技術資料を提供いただきました。

もちろん、ここに引用したものは、公開されている技術資料のものですが、このHPの説明のために内容の一部を引用していますので、間違った転用をされるとご迷惑がかかリます。ここに掲載の図表は転用しないようにお願いします。

さいごに

HPの中の随所に書いていますが、熱処理の分野では、熱処理設備や鋼材の品位などは高度に進化しています。

そして、人手を経ないで、機械が自動的に標準化された操作を行う場合などでブラックボックス部分が増えています。

それらの進歩が熱処理的に問題が無いかというと、必ずしもそうではないところがあります。

本文にも書いていますが、商売でやっている熱処理と、最高品質を生み出すための熱処理は違います。

標準化された方法に偏ると、新しい技術や素晴らしい特性を持った品物の出現は望めません。

このことを、社内の若い熱処理担当者にも知っておいてほしいという思いを、このHPに込めています。

ベストな熱処理方法は1つですが、それを見極めるためには、見えないところを見る目を養ってほしいと祈願しています。

なお、重ねて申し上げます。このHPは技術文書ではありません。熱処理を大まかに理解するためのものとして利用いただくようにお願いします。
(第一鋼業WEB担当 野中豊が主な記事を書いています)


第一鋼業の紹介

第1鋼業のの俯瞰図

当社(第一鋼業株式会社)は、高級包丁の製造販売で名高い大阪府堺市に隣接する、大阪市西成区の地に、1935年(昭和10年)に創業しました。

今では、工場の周りには住宅が密集し、工場内も手狭になっていますが、約10000㎡の敷地で、創業以来、主に、 製鉄所向けの鉄鋼せん断用刃物の製作をしています。

最大級の刃物では、直刃と呼ばれる長い刃物では6m、丸刃と呼ばれる回転して使用する刃物は1.5m径のものを製作しています。

さらに、自社製品だけでなく委託熱処理を行っており、古くから、金型や工具鋼などの「工具鋼メーカー」との関係も深いために、著名な国内外の工具鋼メーカーの鋼材の取り扱いには熟知しています。

小口・小ロット品の熱処理加工や熱処理試験などもソルトバスなどの小規模設備を用いてお受けできます。個人の趣味として作られるカスタムナイフ1つでも熱処理をお受けしています。
熱処理についてご質問等は、会社HPのメールフォームからお問い合わせください。


銃刀法に関する熱処理依頼時のお願い

当社では、古くから、カスタムナイフを作っている方から直接に熱処理依頼をお受けしています。会社のHPにあるメールフォームからお問い合わせいただければ、ソルトバスを利用して、1本ごとに熱処理させていただいております。

ただし、下記の法に抵触する品物の熱処理はお受けしていませんのでご注意ください。職業で使用される刃物なども、個別に熱処理をさせていただいていますので、お気軽にご依頼いただけます。

簡単に「銃刀法」と「軽犯罪法」という法律について説明します。

ナイフなどの刃物類は、どんなものでも自由に作ってもいいというものではありません。

現在の銃刀法では、①刃渡り15cm以上の刀等の所持禁止されていますし、②6cmをこえるものは携帯することを禁止されています。

加えて、③刃渡り5.5cm以上の剣(両側に刃のついた刃物)の所持が禁止になっています。

それ以下の長さであっても、軽犯罪法1条で「正当な理由なく隠して携帯すること」 を禁止されています。それを所持している場合は、銃刀法では廃棄することを義務付けています。届出等が必要ですので、対象品は、警察署等にお問い合わせください。

法の順守と安全への配慮をお願いするとともに、ご理解ご協力をお願いします。


【参考文献・引用資料】
日立金属技術資料 No.288 最近の冷間工具材料について 日立金属株式会社
日立金属技術資料 No.170 YSS高速度工具鋼の諸性質 日立金属株式会社
日立金属カタログ H-MT3 日立金属株式会社
日立金属カタログ HY-B9 2011版 日立金属株式会社
日立金属カタログ HY-B10 YSS高級刃物鋼 日立金属株式会社
プレス型材料と熱処理(佐藤・相沢) 日刊工業編
知りたい熱処理 不二越熱処理研究会 ジャパンマシニスト
JISハンドブック 鉄鋼Ⅰ・Ⅱ(旧版を含む)日本規格協会 
JISハンドブック 熱処理(SAE硬さ換算表)日本規格協会
雑誌 特殊鋼 2010.11号(鋼種対応表)
雑誌 特殊鋼 2015.4号やさしく知る特殊鋼の熱処理
JISデータシート(S48年版:ISIJ73 DS1)日本鉄鋼協会編
Metals Handbook
鋼の熱処理 日本鉄鋼協会編
熱処理のおはなし(大和久重雄著) 日本規格協会
熱処理ガイドブック(日本熱処理技術協会編)
熱処理技術入門ー金属熱処理技能士・受験テキスト(日本熱処理技術協会・日本金属熱処理工業会編)
山本化学工具研究社 解説書
特殊鋼辞典 大同特殊鋼編
材料試験硬さ技術の系統化調査 古賀正樹
硬さ試験法とその応用 吉沢武男 裳華房
硬さのおはなし 寺沢正男 日本規格協会

【推奨WEBページ】

【熱処理】
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf/04d1.pdf その他関連記事あわせて7件あります。
その他は https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tec/pdf_dev.html のマテリアル事業分野から。


【硬さ】
https://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/054.pdf



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